ハリウッド俳優から直に英語の発音について教わった話

もう一ヶ月近く前になっちゃうんですけど、実は4月26日に「ハリウッド19本出演の日本人俳優が教える!英語発音セミナー」というセミナーに参加してきました。

講師はニューヨーク在住の日本人俳優、ケン・ケンセイ先生。

ケン先生は剣道の腕を買われて俳優にスカウトされ、『硫黄島からの手紙』など多数のハリウッド映画に出演されています。

でも、最初は英語の発音が悪かったので、台詞のある役がなかなかもらえなかったそうです。

セミナーでは、ケン先生自身が本場のアメリカ人から発音指導を受けるなかで、編み出してきた独自の英語発音法を、二時間半にわたりじっくり教えていただきました!

日本人の英語の発音に関する誤解

アメリカに住んでいれば、そのうちしゃべれるようになるんじゃないか

海外在住経験のないわたしなどは、そんな風に思ってしまいがちです。昔のケン先生もそう思っていたそうです。

だがしかし!

渡米後しばらくして、ルームシェアをしていたことがあったそうなのですが

同居のアメリカ人と毎日楽しく会話できるようにもなっていた、そんなある日のこと。

インド人と話しをしたときに、インドなまりの英語が全然わからない、とルームメイトにこっそりぼやいたところ

You’re the same.(お前モナー)

と言われてしまったんだそうですよ。

がーん。

その後先生は、俳優になり、ボイストレーニングや発音トレーニングやらを本格的に習いもし、長年アメリカに住んでいるうちに

住んでいるだけでしゃべれるようになるというのは誤解だったと思ったそうです。

日本人の英語は実はけっこう通じていないらしい

先生の友達の日本人でアメリカ人の奥さんがいるという人の話です。彼は長年アメリカに住んでいるけれど、勉強はあまり熱心でないということで

あるときその友人が、ケン先生のアメリカ人の友人と楽しげに会話しているのを見て

「あんな、カタカナ発音でも通じるのか」

と思っていたところ、友人が中座しているあいだに

「ケン、彼の言ってること、全然わかんないんだけど」

とアメリカの友人がこっそりもらしたのだそうです。

日本人ぽい発音に慣れているケン先生が

「彼は、ゴルフの話をしてるんだよ」

といったら

「ああ、ゴルフか!!」

といって、そのあとトイレから戻ってきた友人とは、何事もなかったかのようにゴルフの話を楽しげに続けたらしい。

えええ。

何の話題かというレベルで通じてないって相当じゃないですか?

それなら、アメリカ人の奥さんとの会話はどうやって成り立ってるのかというと、長年の付き合いプラスおそらくパワーオブラブでなんとか通じているらしいのです。

ほかにも、外資系会社の日本人社長で、日本人の基準からすると、英語ぺらぺらな感じの人でも、アメリカ人には「よくわからないな」って思われてたりするらしく。

ようするに、「利害関係等があるからわかったふりをする」あるいは「思いやりとしてわかったふりをする」あいだに「そのうちアメリカ人のほうがひどい日本人発音に慣れて何とかわかるようになる」ということで、

日本人の話す英語がうまくなっているのではなくて、受け取る側があわせていることによってコミュニケーションがなりたっているっていうね。そういう図式、けっこうあるみたいです。

ひゃー。

まあ。

それはそれでコミュニケーションが成り立っているなら、ありなのかもしれないけれど。

あまりにも相手に負担を与えすぎるのは申し訳ないですよね。

相手がその負担に耐えてくれるのは、それなりにこっちから提供するものがあるとか(剣道や、ビジネス、愛などでも)、それ以外は相手の思いやりだけで成り立っているわけですから。

たとえ、ネイティブとおなじような発音でしゃべるのは難しいとしても、せめてそれほど大きな負担をかけなくても理解してもらえる範囲の発音でいいからできるようになりたいものです。

ネイティブの発音の先生の教え方ではうまくいかなかった理由

ケン先生の場合は、発音が悪かったら(多少の日本なまりは映画の演出としてありだとしても)俳優としては困ってしまうので、厳しく直されたようです。

でも、一般の日本人が渡米しても、ふつうはそこまで注意してくれないですし、きちんと習わないと通じてないとか、間違っているかあっているかわからないですよね。

アメリカ人の発音の先生は、理論としてこうだという説明を教科書通りに教えてくれて、間違った発音をしたら「ちがう」と指摘することはできます。

でも、「具体的にどこをどう直せば正しく発音できるのか」ということになると、自分は無意識でできていることなので、うまく説明できないみたいなんです。

そうじゃない、こうだ!と何度正しく発音されても、日本人には同じにしか聞こえないし、どこが違うのかわかんないよ。という(笑

剣道で培った継続力で、ひたすら毎日2時間も発音訓練をしたというケン先生(尊敬)は、じょじょに独自に「こうすればできる」という方法論をつかんでいったということです。

そして、アメリカ人の先生に逆に「こうすればどう?」と提案したりして、最初は「えー?」という顔をされたと思ったら、あとから「ケンの言う通りに別の生徒に教えてみたら、できるようになったよ!」という報告をうけたりとか。

できない人ができるようになったという経験の中でしか得られないノウハウってあるのだろうなと思いました。

日本人には、ほとんど一緒に聞こえる、たくさんの「あ」に聞こえる音たちの微妙な区別をつけるチャート表など、システマティックにすっきりまとまっていてとてもわかりやすかったです。

具体的に、ここがどうとか、わたしごときが一回習ったくらいでレクチャーするのはおこがましいし、量も多いので、ここでは説明できませんが(先生の本がでてるので、くわしくはそちらで

日本人が苦手なエルとアールの発音の違いと、その発音の練習のしかたなども、すごく実践的でよかった。

ハッピーニューイヤーというときの、日本人の「イヤー」の発音だと「耳」に聞こえてしまうという話もおりまぜつつ、Yearとearの発音の区別のしかたなども、楽しく学べました。

所感

ケン先生は、居合いの達人で、その腕が見込まれてハリウッド映画に出演するようになったとのことなのですが、

そもそも居合いを始めた動機が、チャンバラ映画を見て

「かっこいい、あんなふうになりたい」と思ったからということなので、

剣道で俳優になるというのはまさに夢が叶っている人生ですよね。

かっこいいです。

そんなすごい経歴をお持ちなのに、気さくなお人柄で、後の懇親会では、オーディションの話とかハリウッドスターのあれこれなどの裏話など、めずらしいお話もいっぱいしてくれて、勉強になっただけでなく、とても楽しくて、すごく満足度の高いセミナーでした。(この投稿のネタも大半は懇親会で聞いた話だったりして…)

あんまり人気がでて、席がとれなくなったり、価格が跳ね上がったりしたら困ってしまうので、正直あまりみんなに広めたくないような気もしつつ(笑)、

でもせっかくのすばらしいメソッドをもっと学習して、「日本人の発音はひどい」と思われないようになれたらね

これからのグローバル社会において大いなる資産になるのじゃないかと思うわけで。

ケン先生は、七月にもまた帰国してセミナーされるそうなので。

日程があえば、ぜひ。おすすめです。

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まずはこちらの本で勉強してみるのもよいかも!

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わたしは会場で買ってサインもらいましたー! わーい!!